人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ジョイス&コンラッド

本日、大学生活最後のレポートを提出してきました!
「これでおしまいか・・・」と思うと、不思議と寂しくもあります。私は英文学部在籍なのですが、思えばレポートで評価を受ける講義がずいぶんあった気がします。(試験よりもはるかに)それでも、そのために読む小説で好きなものが見つかるとすごく嬉しかった。
今回読んだのは

ジェイムズ・ジョイス『若き芸術家の肖像』
ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』

の二作品。
かなりすっ飛ばし気味&ところどころ意味不明(汗)だったのですが、それでも面白い!と思った小説でした。例えばこんな台詞↓

「たとえ悪夢にもせよ、少なくとも自由なすばらしい夢を持つ方が、まだしも人として生甲斐ではないか。」(コンラッド、p129)

「ぼくは自分が信じていないものに仕えることはしない。それがぼくの家庭だろうと、祖国だろうと、教会だろうと。ぼくはできるだけ自由に、そしてできるだけ全体的に、人生のある様式で、それとも芸術のある様式で、自分を表現しようとするつもりだ。自分を守るための唯一の武器として、沈黙と流寓とそれから狡知を使って。」(ジョイス、p385-386)

なんてドリーマー・・・!!
特にジョイスの『若き芸術家の肖像』の主人公、スティーヴン・ディーダラス青年は凄く魅力的な登場人物です。実存したら「おまえ、よくイヤな奴だって言われるだろ?」と思ってしまうような青年(笑)なんですが、大学で自前の美学論(それもスコラ哲学をひきあいに)を語るその才気には恐れ入ります。周囲にはありえない青年像。小説だから出会えるんだなーという人の生き方や思想に、言葉が説得力を持つ小説の世界に、ただ感服するばかり。ものすごい情報量と、ただならぬ情熱。そんな小説家に軽くツッコミを入れながら読み進めるのが、私には合っているようです。教授にはとても言えません。(「作家との対話」とでも言えば良いのでしょうか。)「文学」というと堅苦しいのですが、どんな名作も面白い部分があるから読まれているわけで、自分なりの読み方で思い切り楽しむべき!というのが大学生活を通じて痛感したこと。これから先も小説を開拓して、琴線に触れるものを探そうと思います。
by skintandminted | 2007-01-24 22:25 | book


<< 懐かしい・・・レポート UNIQLO×Lutz & P... >>